2025.1. 1 年頭のごあいさつ 本年も「寿泉堂グループ」をよろしくお願い申し上げます。 谷川俊太郎さんが遺してくれたもの あけましておめでとうございます。 昨年は、元日に発生した能登半島地震をはじめ、各地を襲った豪雨、長期に及んだ酷暑など、自然の猛威に翻弄された一年でした。医療・福祉分野では診療報酬と介護報酬の同時改定が行われましたが、患者さんの受療行動の変化、コロナ関連補助金廃止等の影響により、医療機関は厳しい経営を強いられました。 昨年はまた、郡山市出身の俳優・西田敏行さんはじめ多くの著名人の訃報にも接しました。当法人ゆかりでは、7月21日に私の叔父で作曲家の湯浅譲二さん(行年94歳)、11月13日に詩人・翻訳家の谷川俊太郎さん(行年92歳)が亡くなりました。親友だった二人は、「作詞・谷川俊太郎、作曲・湯浅譲二」で多くの合唱曲、童謡、校歌等を手がけましたが、昭和62年(1987年)、寿泉堂病院の創立百周年に作られた病院歌「生命(いのち)みつめて」もその一つです。「寿泉堂病院史」によると、「昭和61年10月、二人はそろって郡山を訪れ、寿泉堂綜合病院、香久山病院、寿泉堂松南病院のグループ3病院をつぶさに見て、生命の尊厳と医療の理想を短い言葉に表現した」そうです。 病む人の痛み我が身に/手を当てるその手の下で/ひそやかに流れ脈打ち/よみがえる生命の泉 健やかな明日を願って/休みなく戦う日々の/張りつめた心うるおす/あふれ出る生命の泉 かけがえのないひとりとひとり/せめぎあう思いを超えて/みつめよう生きる喜び お二人の逝去を悼みこの詞を読み返すと、そこに当法人の理念、「患者さん第一」が見事に凝縮されていることに気が付きます。新しい一年も様々な困難が予想されますが、苦しいとき、行き詰まったとき、泣きたいときこそ私たちは、この病院歌を口ずさみ、前進したいと思います。 本年も当法人に対する皆さまのご支援を、よろしくお願い申し上げます。 改革の年に 新年おめでとうございます。 今年は2025年、速いもので21世紀の1/4に達しました。本年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。 今年の干支である蛇は、医療や医学の象徴として用いられます。ギリシャ神話に登場する医学神アスクレピオス(太陽神アポロンの子)が蛇を巻き付けた杖を持っていたことに由来し、世界保健機構(WHO)や多くの医科大学のロゴや救急車についている青いマーク「スターオブライフ」にも描かれています。蛇は脱皮することから再生と若返りの象徴とされています。 私が当院に着任して丸3年が経過しました。着任時に「Change」という言葉を掲げました。守るべき伝統は守りつつも、過去の慣習に囚われることなく、新しいことに挑戦し、たゆまぬ改革を進めることで、しなやかで強い寿泉堂綜合病院にしていきたいと考えたからです。そのためには働き方改革や、医療DXの推進を図るとともに院内の組織改革を行い、病院のエンジンでありエネルギーでもある職員・スタッフが熱意と誇りをもって活躍できるように、努力していきます。 医療を取り巻く環境は厳しいものがありますが、当法人の理念「患者さん第一」を堅持し、引き続き地域に寄り添った医療を進め、地域の皆様、開業医の皆様から選ばれる病院、「寿泉堂でよかった」と思っていただける病院となるように、微力ながら尽くしていきたいと考えています。 本年も寿泉堂綜合病院、寿泉堂グループをどうぞ宜しくお願い申し上げます。 「柔軟さと進化」 新年あけましておめでとうございます。 2025年の干支は、乙巳(きのとみ)です。乙は柔らかさや創造性を、巳は知恵、再生、変化などを表しているそうですが、「柔軟に適応して新しく進化していく年」と捉えたいと思います。 昨年を振り返ってまず思うのは、5年ぶりで開催した夏祭りのことです。賑やかな出店や踊り、そして楽しいコンサート。地域と一緒に作り上げていく「身体と心のよりどころ」である病院にとって、ようやく「普段」を取り戻せたと思います。 次に重要なことは電子カルテの導入です。業務合理化、情報集約化、ペーパーレスを目標に総力をあげて取り組み、一定の成果は出たと思います。電子カルテは医療のIT化の一側面でしかありません。医療安全向上、診療の質の改善などを目的としていますが、この先には人工知能(AI)を活用した診療支援システムや遠隔医療があります。医療や介護の世界には「人間らしさ」が必要ですが、例外なく変化がやってきます。専門家だけが理解できる世界から、AIが医療スタッフの能力を超えて最新の知識を提供できる時代になります。我々はAIを柔軟に使いこなし来るべき時代へ向けて進化しなければなりません。 生物誕生から約40億年が経過しました。哺乳類が生き残った理由は、適応と進化の柔軟性があったからと指摘されています。少子高齢化の進行、疾患構成の変化、新興感染症の台頭、進行する温暖化と気象条件の悪化など常に世界は変化します。新しい年を始めるにあたって、われわれ医療者は変化に敏感に対応し、プロフェッショナルとしての矜持を失うことなく、患者さんやご家族に誠実に寄り添っていきたいと思っています。 『こと』に向かう 新年あけましておめでとうございます。 昨年、日本のプロ野球界を制したのは横浜DeNAベイスターズでした。26年ぶりです。 DeNAとは人間のDNAに新しい遺伝子eコマース(電子商取引)のeをはめ込んだ造語です。2011年にそのDeNAのオーナーになり、2021年より経団連の副会長にも就任されたのが南場智子さんです。 勝利日のTVのスポーツニュースで印象的だったのが、ファンの声援にこたえている南場智子さんです。ビールかけではカッパを着てビールまみれになっている姿。 今までのプロ野球祝勝会でオーナーがビールかけをする姿を見たことがありませんでした。選手の応援歌を個別に全員分歌え、週1回は球場に顔を出しています。そのおかげで昨年は今までにない観客動員数235万人のチームにしました。 オーナーのモットーは「『こと』に向かうこと」です。目の前のことに集中しやり抜く覚悟。ブレない。信じる。を大事に行動する。自分で決めたことはやり遂げる。 私たちも『こと』に向かうことで当院受診の皆様の満足度を高めたいと思います。 本年もよろしくお願いいたします。