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【 過去の理事長挨拶 】

「人」から始まる復興

 東日本大震災と原発事故の発生から今日で丸4年が経ちます。発達した低気圧の影響で、郡山では昨夜から雪が降り続いています。「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。」という三好達治の「雪」は鎮魂の詩というわけではないのでしょうが、今日ばかりは深い悲しみをともなって頭の中で繰り返されます。

 震災以降は、このあいさつの文章を3月11日に更新することがすっかり私の習慣となりました。日々雑事に追われ、ともすればあの日の記憶が薄れがちとなる私にとって、この日はあらためてふるさとの現在と未来を考えるとよい機会になっています。

 3月7日の福島民報新聞は、震災から4年を機に福島県内59市町村長に対して実施したアンケートの結果を報じていました。それによると「復興を実感できるようになった」と答えた首長は30人で過半数を占めた一方、実感できない首長も27人おり、認識はくっきり分かれました。大熊、双葉、浪江など原子力災害の影響が大きい地域ほど復興の遅れを感じているのは予想通りでしたが、もし除染や公共事業の成果といった表層のみを捉えて「復興」と感じている市町村があるとすれば、それは被災県にありながら「風化」を助長することにつながりかねないことを、自戒も込めて思います。

  

 郡山出身の作家・古川日出夫氏は、同じく郡山出身のクリエイティブディレクター・箭内道彦氏との対談の中で、「福島は震災があるから、(元旦とは別に)3月にもう1回、1年間を振り返らなくてはならない時期がきて、ある意味で明るい元旦と暗い元旦の2つを持ったと。その2つがあるから、その度にこの1年、この半年に自分がどう変わったのか、それでただ軌道修正するのではなくて、状況も変わったから今度はこっちに進んでみようとか、人生を見つめ直す機会が増えたわけです。元旦を2つも持っている県民なんだから、もっと自分の将来を開拓できるチャンスをもらっていて、ラッキーな人間たちだなってみんなが思うようになればいいなと思います」と発言しています。

 「暗い元旦」とは作家ならではのセンスを感じる言葉ですが、起きてしまったことは起きてしまったこととして受容し、さらにはそれを逆手にとっていくことも必要であるというポジティブな発想に共感を覚えます。そういえば、昨年(2014年)の12月22日は、19年に1度しか訪れない「朔旦冬至(さくたんとうじ)」であったそうで、新月が生まれる「朔」と太陽の復活の日である冬至(「旦」は昇る太陽の意)が重なるこの日は、古来たいへんおめでたい日として祝われてきたということです。天体のサイクルが生み出す偶然に過ぎないのかもしれませんが、福島県民の一人としては、「朔旦冬至」がふるさとの新しい出発(starting over)となることを祈らずにはいられません。

 

 これまでもくりかえし書いてきたことですが、私たち医療機関が地域の再生のためにできることは、そこで暮らす人たちの不安に真摯に寄り添い、そのかけがえのない健康と生命(いのち)を守るために全力を尽くすことです。そう考えていたこの2月、大きな励みとなる一通の投書をいただきましたので、やや宣伝めきますが紹介させていただきます。

 「私は昨年、原因不明の全身激痛に襲われ、何軒ものお医者さんを歩いても体の痛みは止まらず、薬も合わず、あるお医者さんには『僕に、痛い痛いと言わないでください。僕の方が痛くなるよ』とまで言われ、生きていくこともつらくなるほどでした。そんなとき寿泉堂の○○先生が病気の原因を見つけ病名も付けてくださり、入院しながら合う薬を探してくださいました。それからどんどん体は良くなってきています。入院していた病棟の看護師さんたちの笑顔とてきぱきした仕事ぶり、何より一人ひとりの患者さんに優しく接してくれることも素晴らしかったです。若手の看護師さんを指導している上司の婦長さんも素晴らしく、皆さんの優しさに、退院のときには涙が出てしまったほどです。寿泉堂病院の誇り高き従業員さん、これからもがんばってください。そして○○先生、私を救ってくださってありがとうございます。病院のますますの発展を祈るとともに、私も病気と闘っていきます。」

 英語では、「どういたしまして」を「私の喜びです(My Pleasure.)」と表現することがありますが、正にこのような患者さんの喜びこそが私たちの喜びであり、感謝に堪えません。

 福島の復興はそこで暮らす「人」の復興から始まる。・・・そう信じて私たちは、患者さんの痛みを少しでも軽減することができるように研鑽を重ねてまいります。同時に私は経営者として、この素晴らしきスタッフたちの献身に報いることができるよう努力したいと思います。

(2015.3.11 記)

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